従業員持株会入ってる??
【従業員持株会について】
勤めている会社に持株会制度がある方も多いのではないでしょうか。持株会にはいくつかの種類があります。
- 従業員持株会
- 役員持株会
- 取引先持株会
資金力の乏しい貧乏サラリーマン投資家は従業員であることがほとんどだと思いますので、ここでは従業員持株会について、わかりやすく触れてみたいと思います。
「持株会に入るべきか?」という議論がいつの時代でもありますが、これは考え方次第であり賛否両論あって当然だと思います。メリット・デメリットをしっかりと理解して個人で納得するまで考えることが必要です。
従業員持株会とは、従業員が毎月の給料から拠出して会社の株式を毎月買い付けていくというものです。福利厚生の一環として、日本の上場企業の一部では従業員持株会制度を導入しているところがあります。会社からは奨励金が支給されるのが一般的です。この点が市場で買い付けるよりも資金的にやや有利であると言えます。この奨励金が出ないのであれば、持株会に加入する理由は皆無と言っていいでしょう。価値は全くありません。なお、奨励金は課税所得扱いとなります。
毎月買い付け日が近づいてくると「株価下がれ!」と思う人もいるのではないでしょうか?株価が安いほうがたくさん買えますから、こう思うことは理に適っていますね。わざわざ高く買えて喜ぶ人はいません。毎月一定額を拠出しますから、ドルコスト平均法という手法を用いていることになります。何か不祥事でも起こると株価は大暴落になり多量の株数を買い増せるのですが、そういう機会はなかなか訪れません。地道に待つ必要があります。
持株制度に関するガイドライン
日本証券業協会では、持株制度に関するガイドラインを制定しています。持株会に入会を検討している方は、事前にガイドラインを一読しておくことをお勧めします。
【持株会のメリット・デメリット】
【持株会のメリット】
従業員持株会には以下のようなメリット・デメリットの両面があります。入会を検討するにあたっては、メリット・デメリットの両方を理解して納得して入会するのが良いですね。
- 会社から奨励金が支給される(数%程度)。課税対象なので注意。
- 会社の株価が上がれば自分も儲かる
- 株主になれる
- 一度設定すれば忘れていても自動的に買い付けてくれる
- 配当金は自動的に再投資になるので複利効果が得られる
- 優越感に浸れる
- 株式を保有していない課長や部長はカス
- 従業員の勤労意欲向上(これは建前)
【持株会のデメリット】
- 給料も株式資産も会社に依存することになるため、会社が傾くと資産を一気に失う
- インサイダー取引防止の観点から,一般に売却前に申請が必要
- 給料の手取りが減る
- 会社の経営陣は株価を上げようと努力をしない
- 会社の経営陣は株主のことなど到底考えていない
- そもそも経営陣は自社株をほとんど保有していない
従業員持株会における奨励金支給状況
従業員持株会における2018年の奨励金支給状況を調査しました。 母数は3,206 社です。
スポンサーリンク
奨励金の支給状況を見ると,40円~60円としている企業が最も多く1,217 社でした。次いで,100円~150円の奨励金を支給している企業が1,145 社でした。この2つで全体の7割を占めています。そして,奨励金をまったく支給していない(0円)という企業も少なからず存在しています。
奨励金とは言ってみれば、ニンジンです。目の前にニンジンをぶら下げられた馬は、ニンジン目指してひたすら走り続けます。決してニンジンが手に入ることはないのに、です。
企業側は安定株主であり文句も言わない従業員に株式を保有してもらうためにエサをばら撒いています。それが奨励金なのです。奨励金を目の前に散らつかせて持株会に入会させてしまえば、文句を言う株主を少しでも減らすことができます。持株会で買い付けた株式では、個人の口座に株式を引き出さない限り議決権はありません。議決権は持株会が握っている状態なのです。
このあたりも良く勘案し、入会を検討する必要があります。
【持株会での積立シミュレーション
持株会へ入会し,株式を積み増していったシミュレーションをしてみます。
- 毎月5万円拠出
- 奨励金は7%とする
- 投資期間は30年
- 配当利回りは1%とする
- 配当金は自動的にすべて再投資される
- 株価は2,000円からスタートし、 1年目~15年目までは100円/年の下落 16年目~30年目まで100円/年で上昇とする(V字形状)
現実的かどうかは別として、1年目~15年目まで右肩下がりに株価が下がっていることにより、ここで保有株数の積み増し効果が期待できます。継続的ナンピン買いの様な感じですね。この様なことがあると取得単価はどんどん下がっていきます。15年目以降は株価が回復する設定ですので、一旦株価が回復し出せばアクセル効果で配当金が勝手に増殖していきます。大幅なキャピタルゲインも当然積み上がっていくことになります。
配当金再投資による保有株の積み増し
従業員持株会では配当金が支払われた場合は自動的に再投資に当てられます。何もしなくても勝手に再投資してくれるのは良いですね。
長期的に配当金を再投資し続けることによって、保有株数は積み増されていき複利の効果が得られます。30年ほど経つと馬鹿にならない程の株数が積み増せることが分かりますね。ただし,無配転落や減配には注意が必要です。自分の会社は、過去に無配転落や減配をした実績がないかをしっかりと確認しましょう。
買付時の買付手数料もきちんと確認をしておくべきでしょう。
【終わりに】
企業のIR担当がきちんとした仕事を行っているのかを株主として、確認しておく必要があります。IR部署に電話をして株式に関する質問を投げかけてみるのもいいかもしれません。果たしてきちんとした対応を行ってくれるのでしょうか? してくれないのであれば、そのような会社の株式など捨ててしまいましょう。もしくはクレームを入れましょう。
日本企業の経営者というのは一般的に株主の方を向いていません。自分たちの利益ばかり考えて、会社の金をまるで自分たちのもののように無駄遣いします。これが事実です。株式を保有しているということは会社のオーナーであることを意味しますので、株式を保有していない部長や課長よりも偉いのです。
また、我々株主は経営者が私利私欲・既得権益にまみれた経営をしないように監視する必要があります。 あなたの勤めている企業の役員たちの保有株数を確認してみるのも良いかも知れません。IR情報で確認できる企業もあります。役員や取締役であるにも関わらず保有株数がゼロという輩もいて、日本企業というものには特に驚きを感じます。役員や取締役と言ってもその実態は名ばかりの存在で、実質は存在価値が無く機能していない人達ばかりです。私利私欲のために会社の金を使う、件の人の様にならなければ良いのですが・・・。
投資は自己責任で。
関連記事
私の投資方針をまとめています。